雪が舞う、冬に観たい名作3選
戦争で引き裂かれたふたりが吹雪の中で再会
『ヒマラヤ杉に降る雪』
小さな移民の島で、日系人女性ハツエの夫が殺人容疑で逮捕され、その裁判を新聞記者のイシュマエルが見守っていました。
彼の心に蘇るのは、ハツエとの思い出。
ふたりは幼なじみで愛し合うも、太平洋戦争の勃発によって離れ離れに。家族ともども強制収容所へ送られたハツエは、やがて日系人のカズオと結婚。戦後9年を経た猛吹雪の冬の日、カズオの裁判でふたりは再会したのでした。
日本人だからという人種差別がある時代に、証拠不十分で進む裁判。疑問を感じたイシュマエルは独自に調査を進めますが……。
戦争によって引き裂かれた男女の愛の重さを、雄大な自然にのしかかる雪に重ね、ほの暗い映像美によって描き出した本作。
主演のイーサン・ホークはイシュマエルの青年らしい葛藤を憂いのある瞳で表現し、ハツエを演じた工藤夕貴が芯のある美しさで物語を牽引します。
暗く静かなトーンで進む中、若い頃のふたりを演じたリーヴ・カーニーと鈴木杏の瑞々しさが引き立ちます。ラストシーン近く、傍聴席のイシュマエルを映したシーンのイーサン・ホークの表情も必見。
『ヒマラヤ杉に降る雪』
1999年製作
DVD:¥1,572
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。