【新作映画】
多彩なヒロインが女性たちをエンパワーメントする物語 3作

英雄と呼ばれた男を翻弄した妻に、〝真犯人〟を名乗る女優。
異次元の怪力を持つ少女。多彩なヒロインが女性たちをエンパワーメントする３本を紹介。

『ナポレオン』

英雄と呼ばれた男とその妻愛と矛盾に満ちた関係性

マリー・アントワネットは断頭台の露と消え、革命の混乱のなかにあったフランス。大胆な戦法を持つナポレオンは軍の総司令官となる。
周囲の反対を押し切って結婚したのは、年上で離婚歴があり、ふたりの子供がいるジョゼフィーヌだった。世界で最も知られているフランス人とも言えるナポレオンの生涯を『グラディエーター』の巨匠、リドリー・スコットと主演、ホアキン・フェニックスのタッグで映画化。
伝記映画の枠に収まることなく、ヒーローともモンスターともカテゴライズできない複雑な人物像を描き出した。強烈なインパクトを残すのが、浮気を重ねてもどこか気高く、ナポレオンに対して決してひるむことなく率直にぶつかっていくジョセフィーヌのキャラクター。
矛盾と愛に満ちたスリリングな夫婦映画としての見応えが存分に詰まっている。

監督：リドリー・スコット
出演：ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービー

TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開中

『私がやりました』

最後に笑う真犯人は一体誰⁉軽妙洒脱なオゾン流ミステリー

映画プロデューサーが自宅で殺害される事件が起こり、貧しい若手女優のマドレーヌが容疑者になってしまう。彼女はルームメイトの新人弁護士、ポーリーヌの提案で、自分の身を守るための正当防衛だったと法廷で主張。
見事に無罪となった“悲劇のヒロイン”は脚光を浴びてスターダムを駆け上がるが、かつての大女優、オデットが真犯人は自分だと名乗り出る。
『８人の女たち』『スイミング・プール』などで知られるフランソワ・オゾン監督らしい軽妙洒脱なミステリーであると同時に、男社会でこんな闘い方もできるのか！と女性たちをエンパワーメントする作品。
セクシュアリティへのさりげない目配せが物語に奥行きを生み出し、クラシカルなインテリアやファッションが映画をさらに弾ませる。イザベル・ユペールの振り切った大女優ぶりも楽しい！

監督：フランソワ・オゾン
出演：ナディア・テレスキウィッツ、レベッカ・マルデール、イザベル・ユペール

TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開中

〈Netflix〉
『力の強い女カン・ナムスン』

生まれながら超人的な怪力を持つ”３代母娘ヒーロー”が大活躍！

いかつい大男を片手で軽々と投げ飛ばすほどの怪力を持つ、モンゴルの女の子。
幼い頃に韓国人の父親とはぐれてモンゴルの育ての親のもとで育ってきた彼女はある日、自分がカン・ナムスンであるという記憶を取り戻す。
パク・ボヨン演じる怪力ヒロインが人気を集めた『力の強い女ト・ボンスン』の新たなシリーズの配信がスタート。
序盤には『VIVANT』ロスの人におすすめの場面もあり、『イカゲーム』のイ・ユミの愛らしさと元気さにほっこりする場面も。
血のつながった家族を探しにモンゴルからソウルへとやって来たカン・ナムスンが、同じように怪力を持つ母と祖母とともに、麻薬事件の真相を追いかけることになる。
テンポよく描かれるスーパーパワーを持つ三世代の活躍と、カン・ナムスンの恋の行方から目が離せなくなるはず。

監督：キム・ジョンシク
出演：イ・ユミ、キム・ジョンウン、キム・ヘスク

Netflixシリーズ「力の強い女カン・ナムスン」独占配信中

選・文／細谷美香

大人のおしゃれ手帖2023年12月号より抜粋
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