『ボタニスト 植物を愛する少年』ジン・イー監督インタビュー/新疆の小さな村で育った若手監督が語る、故郷の風景と思い
あれはカザフ族の伝統的な保存食で、私も食べていました
©2025 MONOLOGUE FILMS ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms
――農村で静かに暮らす少年とおばあちゃんがいて、一方で兄は都心に出たものの戻ってきており、模索しながら生きている若者を描いた青春映画としての感動もありました。また、やはり本作の大きな魅力は、自然の美しさを収めた詩的な映像です。個人的には、戸棚のガラス戸に映る少年の顔など、光、影、反射などを使った絵画のような映像も印象深いです。監督は本作が長編デビュー作ということですが、美しい映像はいつどのように学ばれたのでしょうか。
ジン・イー:私は農村の美しい風景に囲まれて育ちましたが、一方で現代の芸術作品にも興味があって多くの絵を鑑賞していました。そのような体験が影響しているのかと思います。また、撮影監督を務めてくださったリー・ヴァノンさんの技術のおかげでもあります。私にとっては当たり前だった風景ですが、ヴァノンさんが撮ることで、「こんなにもきれいだったのか」と再認識できるような映像になりました。そして、あえて曖昧に撮っているシーンもありますが、それにも意図があります。人の記憶というのは曖昧なものですし、はっきり描かないことで観る人の記憶を呼び起こすような映像にしたかったのです。
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――映像でいえば、アルシンが鞄から何か白いものを取り出して、メイユー(少女)と二人で分け合って食べる微笑ましいシーンがありました。あれは何ですか?
ジン・イー:私自身も小さい頃によく食べていたものですが、牛乳を発酵させて干して固めた栄養価の高い保存食で、ヨーグルトよりもさらに酸っぱいんです。カザフ族の伝統的な食べ物でもあります。遊牧民はなかなか食べ物に恵まれないときもありますが、これ一つあれば一日は腹を空かせずに過ごせるといわれていて、昔から重宝されています。
――たしかに少女が酸っぱそうな顔をしていました。少年少女役の二人をはじめ全員が演技経験のない俳優とのことですが、とても自然な演技でした。ちなみに、馬の声をあてていた方も素人なのですか? いい声でしたが。
ジン・イー:彼は俳優ではなく、プロの司会者なんです。子ども向け番組で司会をしていた方ですが、有名人ではありません。
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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