【木村多江さんが巡る新宿の名店】vol.3
『紀伊國屋ホール』_50代のぶらり街歩き
記事公開日
老舗喫茶や名建築を巡れば、そこにはレトロとモダンが交差する、新宿の歴史を垣間見せる景色が。
木村多江さんとともに、時空を旅するような街歩きへ。
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かつて客席から憧れていた舞台に、主役として帰る夏。
新たな一歩をこの場所から
芸術・文化人が集った聖地
Kinokuniya Hall〈紀伊國屋ホール〉
東京都新宿区新宿3-17-7
紀伊國屋書店 新宿本店 4F
☎︎ 03-3354-0141
京生まれの木村さんにとって、新宿は10代の頃からなじみ深い街。
「久々に訪れましたが、学生時代に感じた空気がいまも残っていて。レトロとモダンが混在した、この街ならではのおもしろさを感じます」
そんな新宿の文化を象徴する「紀伊國屋ホール」に、木村さんは舞台『わたしの書、頁を図る』の主演として挑みます。
「舞台袖に立ってみたら、客席との距離が思いのほか近くて驚きました。作・演出の小沢道成さんが書く脚本は、人のもろさや苦しさに寄り添ったもの。役者はそれを抱えながら役を生きることになりますが、そうした心の機微も、この空間なら観る人に届きやすいと思います」
演じるのは、図書館職員として働く主人公の柳沢町子。静かな日常を過ごしていた町子が、ある青年に心を揺さぶられ、周囲の人々の真の姿を知って変化していくさまが描かれます。
今作は小沢さんが、木村さんのイメージに合わせて書き下ろした、“あて書き”なのだそう。
「小沢さんには『ロックな木村さんを見てみたい』と言われたのですが、私自身も内面にそうした部分を持っていると思っていて。町子も一見おとなしいけれど、すごく妄想の激しい人。その妄想の部分がロックなんじゃないかな、と。そんなふうに人に見せる顔と裏の顔が違うことってありますよね。その二面性を見出してもらえたことは嬉しかったですね。周囲に巻き込まれて、安全圏から引っ張り出されていく町子の姿を愛おしく、コミカルに演じられたら」
劇中では歌うシーンもあり、現在は稽古に先立ち、発声のレッスンに励んでいるところ。
「ミュージカルではないので、上手い必要はないと言っていただきましたが、あまりに音が外れたり、客席に届かないようでは困るので、一から勉強しようと思って。体のどこに空気を入れ、どう声を出すのか…… という基礎から学んでいます」
本作をはじめ、今年の後半を乗り切るための体力をつけることも、目下の課題です。
「いまの目標は“ちっちゃなルーティン”を作ること。たとえば朝起きたらストレッチと顔の筋トレをして、待ち時間にはスクワットをして……。一度にあれこれやるのは難しいけれど、毎日の習慣に遊び感覚で組み込んでいけば続けやすいので。年齢を重ね、20代の頃と同じようにはできなくなったとしても、熱量をセーブしたくはない。健やかに心身を保って、ひとつひとつの作品に全力投球していきたいです」

〈木村多江さん出演中の舞台〉
紀伊國屋書店創業100周年記念公演
『わたしの書、頁ページを図る』

やがて慶太の撮影は、常連客たちも巻き込んでいき訪れる常連客の様子からその人の日常を想像しつつ、日々を過ごしていた図書館職員の柳沢町子(木村多江)。
ある日町子は、自主映画を撮っているという岸口慶太(味方良介)から、撮らせてほしいと頼まれる。やがて慶太の撮影は、常連客たちも巻き込んでいきー。
作・演出・美術:小沢道成
出演:木村多江 味方良介
光嶌なづな 中井智彦
坂口涼太郎 猫背 椿
公演中~7月19日(日)
紀伊國屋ホール
photograph: Isao Hashinoki[nomadica] styling: Nakako Ikeda hair & make-up: Yukie Shigemi text: Hanae Kudo
大人のおしゃれ手帖2026年7月号より抜粋
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