美しいのに怖すぎる……、油断ならない“大人のための”ホラー映画3選
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『ハッチング―孵化―』
©2021 Silva Mysterium, Hobab, Film i Väst
夏の風物詩といえば、怪談。歌舞伎では幽霊の演目を披露したり、映画ではホラーが公開されることも多いものです。そこで今回は、50代女性におすすめのホラー洋画を3作品紹介します。
一口にホラーといっても、幽霊やゾンビが人に襲いかかってくる絶叫系のものもあれば、一見ふつうのヒューマンドラマなのに観る者にじわじわと恐怖を与えるものもあります。今回取り上げるのは後者で、血しぶきなどのグロテスクなシーンはそこまで多くはないものの(ないわけではない)、奇妙で恐ろしく、なにより大人女性におすすめできるポイントとしては、映像がおしゃれで美しく、物語が示唆に富んでいることです。そう、美しいのに実は怖いので、油断は禁物です。
好き嫌いの分かれる作品かもしれませんが、ただ怖いだけではなく、斬新な取り組みや俳優の名演など見どころも多いので、ショッキングな場面が苦手な方はその点に注意しながら、ゾクゾクをお楽しみください。※多少のネタバレを含みます
目次

フィンランドの新鋭女性監督ハンナ・ベルイホルムの長編デビュー作で、美しく不穏な世界観に魅了されるホラー。
フィンランドで暮らす4人家族の母親は、幸せな一家のキラキラした日常を世界へ発信することに夢中になっています。12歳の長女ティンヤが体操の大会出場を目指して練習をする姿も動画にアップ。母親にとっては、体操が上手な美しい娘がいることも、完璧な家族を演出するための一要素なのです。
そんなある日、ティンヤは森で奇妙な卵を見つけます。家族に内緒でその卵を自分のベッドで温め続けると、やがてそれは大きくなり、ついに孵化します。そこから生まれ出たものは想像を絶する恐ろしいものでした。そして、ティンヤが“アッリ”と呼ぶそれは、完璧な家族という仮面をはぎ取っていくのでした。

素敵な家で暮らす幸せな一家、というイメージを世界に発信する母親、という現代社会らしい設定で、そんな母親に不満を言えない少女の抑圧された感情をリアルに描いた本作。ティンヤの追い詰められた感情の発露が、“アッリ”という存在のように思えます。

そして、不気味な“アッリ”以上に恐ろしいのは、母親の本性です。彼女の冷酷さは映画の冒頭で早々に示されますが、自己顕示欲の塊のような彼女は“アッリ”と対峙することで変わっていくのでしょうか。最後まで目が離せません。
『ハッチング―孵化―』
2022年製作
DVD ¥4,180 発売中
発売・販売元:ギャガ
©2021 Silva Mysterium, Hobab, Film i Väst
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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