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大人のおしゃれ手帖 1月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年1月号

2024年12月6日(金)発売
特別価格:1420円(税込)
表紙の人:原田知世さん

2025年1月号

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南果歩さん I am Here!〜パンドラの鐘〜

何よりも大事なのは、人生を楽しむこと。

「パンドラの鐘」

6月に東京のシアターコクーン、7月に大阪の森ノ宮ピロティホールにて、舞台「パンドラの鐘」が始まります。私自身、2019年11月の新国立劇場「ある出来事」以来の舞台となります。

この間、演劇界もコロナとの厳しい戦いがありました。劇場も観客数を減らすなどの感染対策を徹底してきましたが、出演者の中に感染者が出ると、直ちに休演を余儀なくされる状態に。緊急事態宣言下では、劇場を閉めるという決断をせざるを得ない状況にありました。

コロナ禍でどれだけの人が仕事や生活に支障をきたしてきたことでしょう。演劇人もご多分にもれず、です。
舞台に立っていなくとも、私も痛いほど感じていました。

稽古中もマスクを着用。マスクをつけたままの稽古は通常とは勝手が違います。表情が半分隠れているし、声も通らない。不自由な中での稽古です。

「パンドラの鐘」は1999年に劇作家の野田秀樹さんが発表した戯曲です。当時、蜷川幸雄さんと野田さんが同時期にシアターコクーンと世田谷パブリックシアターで、それぞれのキャストで上演された伝説の舞台。

今回は七回忌となる蜷川さんのNINAGAWA MEMORIALと題して、蜷川さんから多くの影響を受けてきた杉原邦生さんが演出をします。杉原さんとは2018年にKAAT 神奈川芸術劇場での「オイディプスREX」でご一緒して以来です。

稽古場にて。野田秀樹さんと杉原邦生さんとの一枚。

実は、若い頃に野田さんからNODA MAPでお話を頂きながらご一緒できなかった悔いがあり、蜷川さんとは2000年の「グリークス」でご一緒した後に再びご一緒できなかった残念さもありで、今回の作品に参加することで胸の奥に残っていた小さな棘が外れるのかもしれないと。

本当に仕事はタイミングだと思っています。できなかった仕事やお断りした仕事に関しては、私の場合は至極さっぱりと割り切る方なのですが、野田さんと蜷川さんの舞台に関しては少し違うニュアンスが心の中に残っていたのです。

時を経て、またこうしてご縁が繋がることができて、人生って本当に面白い。面白すぎる! ご縁に感謝感謝です。


とにかく野田戯曲は言葉遊びが面白く、且つ深いのです。歴史から学べず戦いを繰り返す人間の愚かさや、歴史には残らない市井の人々の想いなど、色んな角度から楽しめる厚さがあるのです。

今回のキャストは個性豊かな方々ばかり。稽古場ではさまざまな刺激を皆さんから頂きながらやっています。
今、演劇ができる幸せを感じつつ、この不穏な世の中の空気を吹き飛ばすエネルギーを舞台で発したいと思っています。

想像力はきっと、この辛い現実を生きる私たちを助けてくれるものだと信じていますから。


KAHO MINAMI
1964 年兵庫県生まれ。ドラマ『Pachinko パチンコ』がApple TV+で配信中。フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサ監督の映画『義足のボクサー GENSAN PUNCH』が6/10より公開。野田秀樹の戯曲『パンドラの鐘』(6/6~ 28:東京・Bunkamura シアターコクーン、7/2 ~ 5:大阪・森ノ宮ピロティホール)にも出演。

文/南 果歩 撮影/野口貴司(San Drago) スタイリング/坂本 久仁子 ヘア&メイク/国府田圭
大人のおしゃれ手帖2022年7月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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