松之助オーナー・平野顕子さんの N.Y.からおすそ分け vol.7
映画と私
私たち夫婦にとって共通の楽しみは「映画鑑賞」です。
特に夫は映画を見ることを楽しみにしていて、食事をしながら鑑賞するほど。
映画は本当に色々なことを学べるので大好きです。
英語や人間関係を学べ、ユーモアのセンスを磨くなど、実人生のエッセンスがちりばめられています。
私たちは大作といわれている映画はほとんど鑑賞せず、小規模映画を楽しみに、セレクトしては鑑賞しています。
ジャンルを分けると、コメディ5割、アクション3割、ドラマとミステリーが2割といったところでしょうか。
そんななかでも、ぜひ読者の皆さんにも観ていただきたいおすすめの映画を独断と偏見で3つ、紹介いたしますね。
『On the Basis of Sex』ビリーブ 未来への大逆転
87歳で亡くなった、ルース・ベイダー・ギンズバーグの半生を描いたもので、珠玉の言葉に溢れた映画です。
史上二番目の女性連邦最高裁判所判事に就任した方で、今なおたくさんの支持者が存在しています。
彼女のいくつかの名言が心に残っています。
「時々は、耳の遠い人になりなさい」
これは職場でも、日常生活でも役に立ちます。
時々は受け流すことが大切なことも多々あります。
自分も敏感に反応することで疲れるし、パートナーとの関係や人間関係がギクシャクすることもありますよね。
時に鈍感力が大切だと感じます。
「自分の大切にしているもののために闘いなさい」
人生でしばしば、障壁だと思っていることが素晴らしい幸運になることがあります。
私は思いやりのある人生のパートナーに巡り会えて幸せだと思います。
『Miss Sloane』女神の見えざる手
大好きな映画で繰り返し、2~3か月に1度は鑑賞しています。
ロビイストの物語で、主人公の非情なまでにストイックな行動が印象的。
そして、彼女が最後に放つセリフが圧巻です!
「The winner reads and plan one step ahead of the enemy, and after the enemy uses the trump card, use own trump card.」
成し遂げたいと思う信念、変化を恐れずに挑戦する心意気、何かに向かう情熱……見るたびに刺激をもらっています。
『The Post』ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
ジャーナリストたちが政府に対して一歩も引かない姿勢で挑んだ、命懸けの戦いの物語。
メリル・ストリープとトム・ハンクスが主演。
日本にはないジャーナリストのあり方を改めて実感できる映画です。
ほかにもおすすめはたくさん!
コメディ映画なら
『New year’s Eve』『Something's Gotta Give』『Playing by Heart』
アクション映画なら
『The Italian Job』『Enemy of the State』『Blitz』
女の友情ものなら
『The First Wives Club』『Book Club』『The Women』
ファミリー関連なら
『Rumor Has It』『Playing by Heart』
ざっとこんな感じです。
そして、映画の中で心に残るシーンやフレーズ、自分が感じた想いなどをノートに書き溜めておいて、ことあるごとに開いてはその言葉や想いに励まされたり、慰められたりします。
それが発展して、ストレス解消のために殴り書きをしたりすることもあります。
書いてるうちにすっきりして、気持ちの整理もできたりして……これ、なかなか、おすすめですよ!
マンハッタンを歩いていると、時々映画の撮影風景に出合います。
こんな光景も珍しくないです。
街を歩いているだけで、映画のワンシーンにいるかのような体験ができるのもニューヨークの魅力です。
映画だけでなく、数多くのロッカー、アーティストにも愛され、文学や音楽など、芸術の題材としても数多く登場している「チェルシーホテル」。
『レオン』で、レオン(ジャン・レノ)が最初に住んでいたアパートがここです。
今回紹介した映画、秋の夜長の週末にぜひ鑑賞してみてください。
決して裏切らないと思いますよ♪
平野顕子
料理研究家、スイーツ店「松之助」オーナー
京都の能装束織元の家に生まれる。47歳でアメリカ・東コネチカット州立大学に留学。17世紀から伝わるアメリカ・ニューイングランド地方の伝統的なお菓子作りを学び、帰国後、京都・高倉御池に「Café & Pantry 松之助」、東京・代官山に「MATSUNOSUKE N.Y.」と、アップルパイとアメリカンベーキングの専門店をオープン。京都と東京にはお菓子教室を開校。2010年、京都・西陣にパンケーキハウス「カフェ・ラインベック」をオープン。著書に『アメリカンスタイルのアップルパイ・バイブル』(河出書房新社)、『「松之助」オーナー・平野顕子のやってみはったら! 60歳からのサードライフ』(主婦と生活社)など多数。プライベートではひとまわり以上年下のイーゴさんと再婚し、サードライフを過ごす。
text/Emiko Yashiro(atrio)
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