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2026年6月号

2026年5月7日(木)発売
特別価格:1680円(税込)
表紙の人:吉田羊さん

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【唐沢寿明さんインタビュー】「生涯現役という考えは僕にはない。せっかく結婚して奥さんもいるんだから、二人でいろいろ楽しみたいですね」

若い頃、溺れてる役なのに水面から飛び出して監督に怒られました

映画『ミステリー・アリーナ』は、深水黎一郎による同名小説が原作。©2026 Amazon Content Services LLC or its Affiliates. All rights reserved.『ミステリー・アリーナ』
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――「ミステリー・アリーナ」の挑戦者は失敗すると大変な目に遭いますが、唐沢さんは長いキャリアの中で大変な失敗をしたことがありますか?

唐沢:たくさんありますよ。若い頃、東映アクションクラブにいて、当時は戦争ものの映画が多くて、ちょっと演技ができるエキストラということで僕と何人かが撮影に呼ばれたんです。そうしたら、兵隊の格好をして真冬の海で溺れてくれと言われて。三浦友和さんがボートに乗っていて、その後ろで僕らが溺れているのですが、僕は少しでも画面に映りたいから水面から顔を出していたんです。すると監督に「お前、溺れてるのに飛び出してるやつはいないだろう」と怒られましたね。

――ハードな体験ですね。

唐沢:それで、「すみません。でも、映りたいんです」「またやるつもりか?」「はい、できる限り頑張ります」ってやりとりをしたら、監督がスタッフに「おい、あれ持ってこい」って1キロの砂袋を腰に二つも付けられたんですよ。助監督は優しいから「本番の直前までここにいてやるからボートにつかまってろ」と言ってくれたんですが、僕もまた「不死身なんで大丈夫です」と言ってしまい、助監督が離れた瞬間にズブズブと沈んでいってマジで死ぬかと思いました。

公開後にその映画を観に行きましたけど、僕はどこにも映ってなくて、でも記念にパンフレットを買ったら、そこには出てたの! 叫んでいるようなすごい顔をして。今でもとってありますよ。たまに見ては「こんなこともあったなあ」って(笑)。

堤幸彦がメガホンを撮った新作映画『ミステリー・アリーナ』©2026 Amazon Content Services LLC or its Affiliates. All rights reserved.『ミステリー・アリーナ』
©2026 Amazon Content Services LLC or its Affiliates. All rights reserved.

――今では笑い話ですが、少しでも映りたいというガッツがすごいですね。それからキャリアを積まれて現在60代になられましたが、新しいことに挑戦しようという気持ちを持ち続けていることが素晴らしいと思います。

唐沢:やはり新しいことは魅力的なので、やってみたいと思いますね。すべて成功しなくてもいいし、主役じゃなくてもいいんですよ。今回の作品でも、僕が解答者の一人を演じてもよかった。もしそうだったら、どんな風に演じるだろうか、と考えることも楽しいです。

今回の撮影では、解答者役の俳優たちもある意味バチバチでしたから。玉山(鉄二)君はけっこうきっちり演じる方なんですが、するとほかの俳優にもスイッチが入って、「自分はもっと面白くやってやろう」みたいな感じが出るんです。それを僕は司会者の立場から見ているのが楽しかったですね。俳優って、こうじゃなきゃダメだよなって。みんな真面目な人たちだから負けないようにやるんですよ。それが結果として現れるんです。誰一人適当にやっていなくて、自分の存在を印象付けるためにすごく工夫して演じていました。その熱量がすごかったですね。

唐沢寿明主演、芦田愛菜らが共演。『ミステリー・アリーナ』©2026 Amazon Content Services LLC or its Affiliates. All rights reserved.『ミステリー・アリーナ』
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――若い世代の俳優さんたちとの共演で気付いたことや、唐沢さんがアドバイスされたことなどはありますか?

唐沢:演技に関しては若かろうが年寄りだろうが俳優はみんなイコールだと思っていますから、僕が何かを言ったところでそれをやるような人はいないんじゃないかな。それに、相手を委縮させてはダメなんです。基本的にはお互いリスペクトすることが大事で、その信頼があるからこそ相手も安心して演じられると思います。

――演技を通じて世代を超えたやり取りができて、その結果、何かが生まれるというのも俳優業の醍醐味でしょうか。

唐沢:そうですね。想像していない結果になったり、相手と喋りながら自分も変わっていったりする瞬間もあるんですよね。(どう演じるかを)家で考えてきたとしても、相手の演技を見てこっちも変わり、相手も変わり、そうやって生まれるものがあるんです。だから脇役が良い作品はヒットするんですよ。僕自身は主役だから目立ちたいという気持ちはなく、みんなで作っていくのが正解だと思っているので、今回の映画ではみなさんのそれぞれ良いところが出ていると思います。

15年ぶりに堤幸彦監督と組んだ主演映画『ミステリー・アリーナ』について語る唐沢寿明さん。

――堤監督とは15年ぶりのお仕事ということで、互いに変わらないなとか丸くなったな、などと思われたことはありますか?

唐沢:堤監督もこうやってチャレンジし続けているでしょ、僕もチャレンジし続けているから、そういう意味では一緒です。お互い年をとったけどね。堤さんはご自分ではもう70代だからとおっしゃるけれど、まだまだ撮ったほうがいいと思う。普通は70代でこんな突飛な作品を作れないよね。もちろん突飛ではない作品も作れる方だから、次は普通の作品でご一緒したいです。

構成・文

ライター

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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