小難しくなかった! 若き日のゴダールを描く『ヌーヴェルヴァーグ』&ゴダールの名作2本を劇場で楽しむ【50代の映画好き必見】
記事公開日
ゴダールが元妻アンナ・カリーナを迎えて撮った強烈な愛の逃避行
『気狂いピエロ』
『気狂いピエロ』
© 1965 STUDIOCANAL / SOCIETE NOUVELLE DE CINEMATOGRAPHIE / DINO DE LAURENTIS CINEMATOGRAPHICA, S.P.A. (ROME). ALL RIGHTS
1965年の作品で、主演は常連のジャン=ポール・ベルモンド、ヒロインはアンナ・カリーナ。ゴダールとカリーナはこのときすでに元夫婦でした。ゴダールが長編2作目の『小さな兵隊』(60年)を撮った際にヒロインに抜擢したのがカリーナで、二人は結婚し、『女は女である』(61年)『女と男のいる舗道』(62年)『はなればなれに』(64年)と立て続けにコンビを組みました。しかし、64年に離婚。その翌年に撮影したのが、本作『気狂いピエロ』です。
『気狂いピエロ』© 1965 STUDIOCANAL / SOCIETE NOUVELLE DE CINEMATOGRAPHIE / DINO DE LAURENTIS CINEMATOGRAPHICA, S.P.A. (ROME). ALL RIGHTS
フェルディナン(ジャン=ポール・ベルモンド)は、金持ちの妻との生活に飽き飽きしており、逃げ出したい欲求にかられていました。そんなある夜、夫妻がパーティに出かけるためベビーシッターを頼んだところ、フェルディナンのかつての恋人マリアンヌ(アンナ・カリーナ)が現れます。
パーティを抜け出して一人で帰宅したフェルディナンは、マリアンヌを車で送り、一夜を共に。翌朝目覚めると、なんと彼女の部屋に男の死体が転がっていました。驚く彼とは裏腹に、朝食を作っているマリアンヌ。フェルディナンはマリアンヌと共に着の身着のままでパリを後にし、彼女の兄がいる南仏へ向かいます。
『気狂いピエロ』© 1965 STUDIOCANAL / SOCIETE NOUVELLE DE CINEMATOGRAPHIE / DINO DE LAURENTIS CINEMATOGRAPHICA, S.P.A. (ROME). ALL RIGHTS
フェルディナンが無謀な逃避行を楽しんでいる一方で、マリアンヌは欲求不満を募らせて逃亡してしまいます。しかし、再び事件が発生。ギャングに捕まったフェルディナンは、消えたマリアンヌの居場所を教えろと拷問されますが、彼は何も知らず……。
© 1965 STUDIOCANAL / SOCIETE NOUVELLE DE CINEMATOGRAPHIE / DINO DE LAURENTIS CINEMATOGRAPHICA, S.P.A. (ROME). ALL RIGHTS
本作は小説が原作ですが、『勝手にしやがれ』などと同様に脚本といえるものはなく、ほとんどのシーンは即興で撮影されたといいます。死体があっても平然としている壊れた女と、それに同調していく男もまただいぶ壊れていて、そんな二人がどこかかみ合わない会話をしながら破滅へと向かう物語。
ゴダールの初期における集大成ともいえる作品で、カリーナの小悪魔的な魅力と、赤や青の鮮烈な色彩が強烈なインパクトを残します。

『気狂いピエロ』
1965年(2015年2Kレストア版)
2026年7月31日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座、UPLINK吉祥寺 ほかにて上映予定
監督・脚本・台詞:ジャン=リュック・ゴダール
製作:ジョルジュ・ドゥ・ボールガール、ディノ・デ・ラウレンティス
原作:ライオネル・ホワイト
撮影:ラウール・クタール
美術:ピエール・ギュフロワ、音楽:アントワーヌ・デュアメル
配給:オンリー・ハーツ
© 1965 STUDIOCANAL / SOCIETE NOUVELLE DE CINEMATOGRAPHIE / DINO DE LAURENTIS CINEMATOGRAPHICA, S.P.A. (ROME). ALL RIGHTS
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
※この記事の内容は、2026年7月時点の情報です
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
この記事のキーワード




