【インタビュー】天海祐希さん
「今は信じた人生を力強く歩みたい」
10月から新たな舞台『レイディマクベス』に出演!(COVER LADY 10月号)
「本当に欲しいもの」を求めて今は、信じた人生を力強く歩みたい
暑かった夏の名残が消えないまま、季節は移り変わろうとしています。
いち早く秋の空気を醸したスタジオに颯爽と登場した天海祐希さん。
その表情からも立ち姿からも、猛暑の日々を経た翳りは微塵も窺えません。
「夏バテって、ありがたいことに経験がないんですよ。体調がよくないこともあまりないし、食欲も落ちないですし。もっとも、普段はかなりインドアに過ごしているんですけどね(笑)。気持ちだけは、いつでもアクティブなんですが」
確かに、昨今の真夏の暑さは、ちょっとした外出ですらアウトドアの気構えが要求されそうなほどの過酷ぶり。
ましてや季節を先取りした撮影の多い俳優のお仕事、その身体的負担は計り知れません。
天海さん曰く、そうしたときに役に立つのが、アウトドアブランドのウエアやグッズなのだとか。「着ていて涼しく、汗をかいてもすぐに乾く高機能ウエアは、本当に優れものですよね。特に、アウトドア用は馬力が違う! 夏だけでなく、秋冬の防寒用も、インナーをはじめとしていろいろ取り入れていますよ。
薄くて軽いし、お値段もお手頃だし、デザインの素敵なものも最近はたくさんありますし……。この間も振付師の先生と話していたんですが、10代、20代、30代くらいまでは、自分に気合を入れる意味でも体のラインの出るお洋服を着て、細いヒールやミュールの靴を履いていたけれど、もうそういうのを選ばなくなったよね、と。
今は、ゆとりがあって、着て楽に動けるかどうかが優先。そういう年代になったんですよね」
今は、自分自身が信じた人生を歩んでいくしかない
心と体をストレスから解き放って臨むのは、次なる作品。
10月1日から上演される舞台『レイディマクベス』は、シェイクスピアの四大悲劇のひとつである『マクベス』の登場人物「マクベス夫人」にインスパイアされ、書き下ろされた新作戯曲。
権力の頂点を求めて突き進む夫婦の破滅劇を、女性の視点から捉え直した意欲作です。
日本でも『ピサロ』(渡辺謙主演・2020年、21年上演)など数々の作品を手がけた英国人演出家ウィル・タケット氏のもとで、天海さんはタイトルロール、日本語での『マクベス』上演では長く「マクベス夫人」と呼ばれていた主人公を演じます。
「何度も上演される『マクベス』なのに、彼女に『マクベス夫人』以外の固有の名前がないことを誰も疑問に思わず、受け入れてきたわけですよね。作品のタイトルを見たとき、私も『ああ、確かに』と、ハッとさせられました」
ファーストネームで呼ばれない彼女は、どんな思いを抱えた女性だったのか。
なぜあれほど強大な野心を抱いたのか。彼女は本当に国を滅ぼした悪女なのか?
『レイディマクベス』では、湧き上がる謎に応えるように、彼女の背景が語られていきます。
もともとは武人であり、夫となるマクベスと戦場で出会ったこと。
ふたりで国を治める夢を描いたこと。
やがて娘を授かるものの、出産時のダメージで戦場への復帰が叶わなくなったこと。
スケールは異なれど女性ひとりが人生で経験する夢と希望、挫折と苦悩がリアルに織り込まれた物語を、天海さんは頷きながら読み進めたといいます。
「まず、彼女が武人であったという設定だけで、夫を心底愛し信じた理由が裏付けられますよね。共に戦場で戦った経験があったからこそ彼女には感じるものがあり、彼を王にしたい、ふたりなら夢を叶えられると、一気に野望を加速させていったのでしょう。
出産後、城の中で鬱々と過ごす中で、本来は愛すべき対象に負の感情を抱くようになるのも、とても現実的だと思うし、現代的でもありますね。
授かった命と引き換えに夢を手放す……『引き換え』も『手放す』も、言葉として正しいかどうかはわかりませんが、それが女性の幸せだと思えた人はとても幸せ。でも、彼女はそこにうまく着地できなかった人なのかな、と」
彼女が挫折から再び立ち上がれた理由とは。そして、彼女が心底求めたものの正体は−。
その答えを、私たちはこれから天海さんを通して知ることになるのでしょう。
そしてそれはレイディだけでなく、すべての女性が一生をかけて向き合い、解いていかなくてはならないパズルのようにも感じられます。
「私にしても、『あなたの本当に欲しいものは?』と問われたとして、今はまだ明確な答えを持っていません。もしかしたら、誰もがそれを探すために生きているんじゃないのかな?とも。そして、たとえ途中で力尽きたとしても、息を引き取る瞬間になってはじめて自分が手に掴んだものが何だったのかがわかるような気がして……。だったら今は、自分自身が信じた人生を歩んでいくしかないんじゃないでしょうか」
誰もが憧れる、レディの品格。
それは「その人の姿勢に表れるような気がします」と天海さん。
真っ直ぐに、ひたむきに。そうして歩む道には、得難い出会いが待っていました。
レイディの夫であるマクベスを演じるのは、英国が生んだ至宝のバレエダンサーにしてミュージカルや映像作品でも輝きを放つアダム・クーパー氏。
来日公演ではない、日本制作のオリジナル作品に参加するのは、本作が初めてです。
「『本当に?』って、思わず聞き返しましたよ! 先日ヴィジュアル撮影でご一緒したときも、まだ半信半疑で(笑)。これだけのキャリアのある方が、言葉や文化の違いを軽々と飛び越えてこのカンパニーに入ってくださった勇気には、もう尊敬しかありません。
世界での活躍を重ねて50代を迎えられた方ですが、若い頃に発揮できたエネルギー値の高い情熱に対し、年齢を重ねると表に出せる幅は狭まったとしても、その分、内にたぎらせるものはとても大きくなる気がするんです。世界規模の熱量に触れられるのが、今から楽しみです」
これさえあれば元気回復!天海さんの「スタミナ常備菜」
夏バテ知らずの日々を支えた常備菜は、長ネギ2、3本としそ、みょうがを薄切りにして保存容器に入れ、ごま、粉末だし、しょうゆを混ぜごま油をヒタヒタに注いで完成。
「ご飯にはもちろん、焼いたお肉や豆腐にのせたり素麺の汁に入れたり。万能です!」と天海さん。
YUKI AMAMI
1967年東京生まれ。最近の映像出演作にテレビドラマ『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』、映画『仕掛人・藤枝梅安 第一作』など。昨年出演した舞台『広島ジャンゴ2022』『薔薇とサムライ2―海賊女王の帰還―』では第48回菊田一夫演劇賞を受賞。世界初演となる『レイディマクベス』は10/1〜 11/12まで東京・よみうり大手町ホール、11/16〜27は京都劇場で上演。鈴木保奈美、要潤、宮下今日子、吉川愛、栗原秀雄が共演。
天海さん着用:シャツ¥30,800、ニットパンツ¥23,100/ともに、ル フィル(ル フィル ニュウマン新宿店)、イヤリング¥341,000/TASAKI、スニーカー¥20,900/マッキントッシュ ロンドン(モーダ・クレア)
撮影/浅井佳代子 スタイリング/東 知代子 ヘアメイク/林 智子 文/大谷道子
大人のおしゃれ手帖2023年10月号より抜粋
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