現代人に不足しがちなのは「オメガ3」
50歳からのオイル選び
油は健康によくないというイメージは、今は昔。
美容や健康のため、油は欠かせないことはわかっているけれど、でも、どんな油がいいのか、どう使ったらいいの? と戸惑うことも。
身近な存在である油を知って、健康の味方につけましょう。
教えてくれたのは・・・
慶應義塾大学医学部教授
オイルドクター
井上浩義先生
医学博士、理学博士。九州大学理学部化学科卒、同大学理学研究科博士課程修了。専門は薬理学、原子力学、高分子化学。油・ナッツ類にくわしく、食と健康について高齢者から子どもまで理解しやすい解説で知られる。『カカオで体の劣化がとまる』(世界文化社)ほか著書多数。
脂肪酸の種類を知りバランスよくとろう
油は体に不可欠な栄養素ですが、特に大人の女性には重要な意味を持ってきます。
「50代以降の女性は、血管をしなやかにする働きをもつ女性ホルモンが減少し、動脈硬化などのリスクが高まります。血管の老化は、すなわち全身の老化。その血管をしなやかに保つはたらきが、実は油にあるのです」というのは井上浩義先生。
一口に油といっても多種多様。
良い油を選ぶためにも、まずは油の種類を学びましょう。
植物性の油は、脂肪酸の種類でオメガ3、オメガ6、オメガ9の3つに分かれます。
オメガ3は、細胞膜をやわらかくし、オメガ6は固くするという反対の役割を持っています。
この2つは必ずとらなければいけない必須脂肪酸で、オメガ3が1に対して、オメガ6を2でとるというバランスが大切です。
しかし、オメガ3が魚の油や、えごま油などでしかとれないのに比べ、オメガ6は加工食品などに含まれているので、どうしてもオメガ6過多になりがち。
これが、動脈硬化やアレルギー疾患などのリスクになるのです。
「まずは、毎日の食事にオメガ3をプラスする習慣を。オメガ6は足りているので、家庭での調理には、オリーブオイルやこめ油など、オメガ9の油を使うことでバランスをとります。オメガ9は必須脂肪酸ではありませんが、オメガ9のひとつであるオレイン酸は悪玉コレステロールを抑制する働きがあります」
オメガ3やオメガ9が体によい油と言ってもカロリーはほかの油分と同じなので、適正な量をとることが大切。オメガ3はスプーン小さじ1杯が適量です。
「また、気を付けたほうがいい油がトランス脂肪酸。植物油脂を化学処理によって常温でも固体にしたもので、マーガリンやサクサクしたお菓子などに含まれます。心臓病や糖尿病などのリスクを高めるため、注意が必要です」。
体によい脂質とは?
脂質には、動物性の「飽和脂肪酸」と植物性の「不飽和脂肪酸」があり、不飽和脂肪酸は大きくオメガ3、6、9に分けられます。
特に現代人に不足しがちなのは「オメガ3」。
注目の脂肪酸
あなたにぴったりのヘルシーオイルを見つけよう!
オメガ3やオメガ9の油も、使い勝手や風味はいろいろ。
あなたの食生活にぴったりな、取り入れやすい油を探してみて。
撮影/木村 慎 スタイリング/来住昌美 文/田中絵真
大人のおしゃれ手帖2023年9月号より抜粋
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