無国籍者の過酷な現実を詩的な映像美で伝える傑作
『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』
ジン・オング監督インタビュー
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現在上映中の映画『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』は、マレーシア・クアラルンプールのスラム街で、さまざまな事情からID(身分証明書)を与えられずに生きる人々の過酷な現実を描いた話題作です。物語の中心は、兄弟として成長した聾唖(ろうあ)の兄アバンと無鉄砲な弟アディ。国籍がなく不法移民扱いされている境遇の中、支え合って生きる二人ですが、ある事件が彼らの未来に暗い影をもたらします。
先週はアバン役を演じたウー・カンレンのインタビューを掲載しましたが、今週は昨年12月に来日したジン・オング監督のインタビューをお届けします。穏やかな口調で、初監督作品への熱い思いを語ってくれました。

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現実の残酷さのみを伝えるのではなく、人々の精神の美しさも描きたい
――社会問題がテーマの作品でありながら、詩的で美しい映像が印象的でした。何よりひたむきに生きる兄弟のことを好きになり、応援せずにはいられませんでした。初監督作品に、このようなテーマを選んだ理由を教えてください。
ジン・オング監督(以下、オング):ありがとうございます。これは長年にわたるマレーシアの社会問題です。マレーシア生まれにもかかわらず身分証明書がないために身を潜めて生きている方々を私自身も知っています。ですから、自分の最初の監督作品として取り組んでみたいと思いました。
――アジアならではの色彩と情緒あふれる映像とドラマティックな展開で、多くの人々の心をとらえる作品だと思います。
オング:映画の中で現実の残酷さのみを伝えるのではなく、人々の精神の美しさや人と人の間にある情を描くことは、これまでも大事にしてきました。現実社会を舞台にしているからこそ、先程もおっしゃってくれたように、ポエティックな美しさが必要だと思います。今回の舞台は貧しくて汚れた場所ですが、映画の前半では濃度の高い色味を多く使っています。

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構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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