【インタビュー】原田知世さん
ニューアルバムをリリース!
「音楽が、思い出の場所へ連れて行ってくれる」(COVER LADY 11月号)
音楽が、思い出の場所へと一瞬で連れて行ってくれる
ようやく暑かった日々も終わりを告げ、秋の気配が感じられるように。
新たな季節におしゃれ心もくすぐられるときですが、原田さんがつい惹かれてしまうのは、「ロマンティックな小花のプリントやレース」だそう。
「おばあちゃんになっても着ていたい、いくつになってもキュンとするアイテム。古着屋さんで見つけた服に、ハイブランドの靴やアクセサリーやバッグをプラスしたり、遊び心とバランスを大切にしています。これは大人になってからの変化ですね。
時々、気分を変えて普段選ばない色や形に挑戦してみることもあります。これが意外としっくりきたり新鮮だったり。年齢と共に気分も変化していきますが、その時々に自分がいいなと思うものを選びたい。誰かに見せるためじゃなく、ファッションは自分が楽しむことに軸を置いてます」
季節の変わり目にクローゼットや暮らしの見直しを行うのも、ちょうどよいリセットに。
「不要なものを手放して身軽になると、やっぱり心に風が通りますよね。なんでも詰め込みすぎってよくないんだな、と感じます。
それと、最近見直してよかったのが、グラスの置き方。グラスって同じものを毎日使いがちですけど、今まであまり使わなかったグラスを取り出しやすいところへ並べたら、使い分けるのが楽しくなって。母や姉とお互いのものを持ち寄って、『今日はどれで飲む?』と言いながら選んでいます。洗ったグラスは、麻のクロスでピカピカに磨いて、またもとの場所へ戻して。日々のささやかな楽しみです」
休日は、5年前から続けている趣味のゴルフへ。秋風が心地よいこれからの季節、いよいよコースに出られるのを待ちわびているそう。
「家でも姉とふたりでああでもない、こうでもないと言いながら素振りをしています(笑)。歌とも似ているのですが、イメージトレーニングをしながら練習していると、あるときふっとステージが上がる瞬間があるんですよね。
進めそうでなかなか進めないけど、1年経つと少しは成長を感じられる。積み重ねることの大切さを学んでいます」
成長した自分の姿を見つけられたらいいな
この日はちょうどニューアルバム『音楽飛行』のレコーディング中。
『恋愛小説』以来となる洋楽カバー集で、ビートルズの「ヒア・カムズ・ザ・サン」、カーペンターズの「遙かなる影」といった60〜70年代の名曲がセレクトされています。
「この時代の楽曲はやはりエバーグリーンというか、時代を経ても色あせない魅力がありますよね。昔の曲ではあるけれど、今聴くと逆に新鮮だったりして、あらためて曲の素晴らしさに気付かされます。私の甥っ子も小学生で初めてビートルズの曲を知って好きになって、それからずっと聴いてます。
音楽は世代を超えて届く力を持っていることを実感しますね。そうした名曲がたくさん生み出されていた時代に私も生まれたんだな、と嬉しく思います」
原田さん自身も大好きな名曲が並ぶなか、とりわけ思い出深い1曲が、ニール・ヤングの「オンリー・ラヴ・キャン・ブレイク・ユア・ハート」。
「私が子どもの頃、兄の部屋からよく聴こえてきたのがこの曲。高校生だった兄はきっと恥ずかしかったのでしょうね。家族に聴こえないようにいつも小さな声で弾き語りしていて。
懐かしい思い出です。音楽は一瞬でそんな思い出の場所に連れて行ってくれる。このアルバムでも心の旅をしてもらえたら嬉しいです」
歌う人の解釈によって新たな楽曲の魅力が浮かび上がるのも、カバー集ならではの楽しみ。
曲ごとの空気感の違いを原田さん自身も楽しみつつ、なかには手強いものもあったそう。
「そもそも英語の曲は難しいので、カバーするときはまず発音の練習から始めるのですが、特にビリー・ジョエルの曲は言葉が詰まっていて難しい。でも歌っているうちに口が動いてきて、少しずつなじんでくる。この曲をクリアしたらもう一歩先に進める、という気持ちでがんばりました。
洋楽のカバーって、私にとっては新しい歌い方や表現を探せるいい機会なんです。だから『恋愛小説』を出したあとも、いつかまたやってみたいと思っていて。この8年間で成長した自分の姿を見つけられたらいいな、という思いでトライしました」
たくさんの方から刺激をもらって、いろんな世界を旅することができた
昨年はデビュー40周年の節目を迎えたことで、「新しく一から始めたい」という心境に。
「ライブを通して、私のことを見つめてくれるファンの方たちの愛情の深さに、感謝の気持ちで胸が一杯になりました。『もうこれで十分に幸せ』と思える達成感もありました。そのときもらったエネルギーがだんだんと自分の中で熟成されてきて、今回のアルバムにつながっていると思います。もっと自分の歌を成長させたいという思いも強くなりました」
あらためて、40年もの間、第一線で歌い続けられたいちばんの理由は、「人との出会い」だと原田さん。
「出会いが導いてくれたものは大きいですね。今、一緒にやっているプロデューサーの伊藤ゴローさんをはじめ、たくさんの方から刺激をもらって、いろんな世界を旅することができた。
私の場合は同時に女優という仕事もやってきたので、上手く気分転換もできましたし。自由に変化しながら、その時代ごとの音楽をやってこられた気がします」
『音楽飛行』
初回限定盤(CD+DVD)¥4,070
通常盤(CD)¥3,300
10月25日発売
発売・販売:ユニバーサルミュージック
ビートルズ、カーペンターズなど世代を超えて愛されてきた 60〜70 年代の名曲を原田さんがカバー。初回限定盤はデビュー40周年記念コンサートの音源を収録したCD付き。
TOMOYO HARADA
俳優、歌手。1967年生まれ、長崎県出身。1983年、『時をかける少女』で映画デビュー。近年の出演作に映画『星の子』、ドラマ「あなたの番です」「半分、青い。」「スナック キズツキ」など。歌手としても活躍しており、1990年代には鈴木慶一やトーレ・ヨハンソンをプロデューサーに迎えた作品で高い評価を得る。近年はプロデューサーに伊藤ゴローを迎え、コンスタントにアルバムを発表。昨年はデビュー40周年アニバーサリーツアーを開催したばかり。
原田さん着用:ニット¥71,500、パンツ¥60,500/ともにユーモレスク、ネックレス¥139,700/メゾンルーバス他、スタイリスト私物
撮影/浅井佳代子 スタイリング&ヘアメイク/藤川智美 文/工藤花衣
大人のおしゃれ手帖2023年11月号より抜粋
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