【お出かけ情報】
おすすめ美術展3選！
多才なアーティストの作品に注目

色香あふれる美人画をはじめ雑貨デザインや小説までマルチな魅力を再発見

憂いを含んだ儚はかなげな美人画で知られる竹久夢二はじつはマルチクリエーターの顔も。
画家で詩人でデザイナーでもあった夢二の世界を再構築した展示、見逃せません！

来年、生誕140年、没後90年を迎える画家竹久夢二の回顧展。

おなじみの美人画ばかりではなく、小説の挿絵、楽譜の表紙デザイン、本の装丁、作詞、あるいは「かわいい」の原点ともいえるオリジナル雑貨を販売した「港屋絵草紙店」の千代紙や封筒便箋、作画の基本となったスケッチなど、第１章から第６章まで、６つの物語で構成されています。

福田美術館の学芸員で本展を担当する森田佑弥さんは「当館が所蔵する竹久夢二の作品は、下関市の実業家、河村幸次郎氏のコレクションで、関西で約200点が一挙に公開されるのは30年ぶり。

画家で詩人でデザイナーでもあった夢二の、多岐にわたる才能で制作された作品の数々を幅広くお楽しみいただけます」と解説します。

森田さんが必見とお薦めするのは、１９１８年に描かれた《長崎十二景　青い酒》です。
「長崎を訪れ、実業家で南蛮美術研究者の永見徳太郎氏の自宅に宿泊した夢二は、もてなしてもらったお礼に本作品を贈りました。12枚の絵には、女性の姿とともに、長崎の名所や伝統行事が描かれています。
１枚目の《青い酒》は、オレンジの香りがするリキュール『キュラソー』をたしなむ美麗な女性が描かれていて、ほろ酔いの様子に色香を感じさせます。夢二は『キュラソー』の瓶を好み、書斎の机にも飾っていたという逸話があります」と森田さん。

一度は目にしたことのある美人画と夢二のマルチな才能に会いに、京都・嵯峨嵐山へ出かけませんか。

トップ掲載作品：《長崎十二景　青い酒》1918年

教えてくれたのは・・・
福田美術館　学芸員
森田佑弥さん
大阪市立大学大学院前期博士課程修了。
伊東深水を中心とした近代美人画が専門分野。これまで担当した展覧会は『日本画革命』（福田美術館/2023年）など。

『生誕140年　竹久夢二のすべて
画家は詩人でデザイナー』

場所：福田美術館
開催：開催中～10月９日（月・祝）　以降全国巡回を予定
開館： 10:00～17:00（最終入館16:30）
閉館：8月29日（火）展示替え
075-863-0606（代表）
https://fukuda-art-museum.jp/

こちらの展覧会にも注目！

『デイヴィッド・ホックニー展』

86歳のデイヴィッド・ホックニーは、60年以上現代美術の第一線で活躍中。
日本での大規模個展は27年ぶり。見どころは全長90メートルの新作と、世界初公開の自画像など。コロナ禍を経た今、心に響く作品が多数ある。
開催中～11月５日（日）
東京都現代美術館
https://www.mot-art-museum.jp/

『版画家たちの世界旅行― 古代エジプトから近未来都市まで』

この夏、400年の時を超えて時間旅行に出かけてはいかが。
古代文明発祥のエジプト、芸術家を魅了したイタリア、摩天楼のニューヨークなど、16～20世紀にかけて制作された旅にまつわる西洋版画約160点を展示。
開催中～9月24日（日）
町田市立国際版画美術館　
http://hanga-museum.jp/

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