“架空の動物”を腕に。リサ・ラーソンの孫、エミリア・エクマン・ラーソン監督が語る祖母への愛と映画への思い
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「私なんてものを作っているだけ」とリサが言うたびに怒っていました
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――本作のなかで、エミリアさんはリサさんの葛藤にも目を向けています。“かわいい”と大衆に愛された作品がたくさんあった一方で、かわいいものは批評家から良い評価を得られないことに悩みながらも、リサさんは折り合いをつけていました。若手アーティストであるエミリアさんは、大衆性と芸術性について、どのように思われますか?
エミリア:みんなに愛されているものはクールではない、という風潮は寂しいことだと思います。例えば、音楽ならABBA(アバ)が好きというよりも、みんなが知らないミュージシャンを好きだと言いたがりますが、大事なことは、広く愛されているということは、多くの人がそのアートにつながりを感じたということだと思うのです。もちろんリサにも自分は批評家から認められていないという葛藤はあったと思いますし、なにより彼女自身が自分は芸術家ではないと思っているところがありました。「私なんてものを作っているだけだから」「グンナルこそが本物の絵描きで素晴らしい芸術家なのよ」と彼女が言うたびに、私は怒っていたんですよ。
――あなただって芸術家ですよ、と。
エミリア:はい、もちろん!
エミリアさんの言葉と表情から、リサさんへの尊敬と愛と優しさを感じました。インタビュー中にカメラを回していたボーイフレンドとの2ショット写真の撮影をお願いすると、「彼は、ただの人」と照れ笑いをしながらも、「彼の名前はHugo Jonsson(ヒューゴ・ヨンソン)で、日本でのプロモーションや旅の様子を撮影してくれているの。彼のお兄さんは、『Hannes』というスウェーデンで有名なミュージシャンだから、ぜひ聴いてみて!」と教えてくれました。エミリアさんは日本各地での舞台挨拶の後も日本の旅を続けるそうなので、いつかその映像が何かの作品になることを期しながら、今後の創作活動に注目していきたいと思います。
取材風景を撮影していたヒューゴさん(左)とエミリアさん
<PROFILE>
エミリア・エクマン・ラーソン(Emilia Ekman Larson)
1994年10月27日生まれ。リサ・ラーソンの孫。スウェーデン第三の都市マルメを拠点として、ドキュメンタリー映画を中心に活動する映画監督・撮影監督。10代前半でカメラを手にして以来、身近な人を撮り続けてきた。芸術・工芸を学んだ後、映画制作と文化プロジェクト運営を学び、映像、アート、演劇、ダンスなど分野を横断して活動。マルメ文化学校で障がいのある子どもたちとともに、アート、演劇、ダンス活動にも携わっている。

『リサ・ラーソンがいた時間』
スウェーデンを代表する人気陶芸家、リサ・ラーソン。70年以上にわたり、北欧の“かわいい”を生み出した彼女の創作人生と知られざる素顔、そして2024年に亡くなるまでの最期の日々とは。監督は、リサの実の孫であるエミリア・エクマン・ラーソン。祖母に憧れ、芸術家としての道を模索し始めたばかりのエミリアが晩年のリサの姿を見つめた、もっとも親密でやさしいドキュメンタリー。
監督・撮影:エミリア・エクマン・ラーソン
出演:リサ・ラーソン、グンナル・ラーソン、マティアス・ラーソン、エミリア・エクマン・ラーソン、フランコ・ニコロシ
製作年:2025年
字幕:LiLiCo
配給:ミモザフィルムズ
2026年9月18日(金)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開中
撮影/小川拓洋
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。
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