【おすすめ美術展3選】
『モダン・タイムス・イン・パリ 1925』が映す時代の流れ
AIなどの発達で生活が大きく変わり始めた昨今。
第一次世界大戦からの復興で工業化が進んだ時代を照らし合わせることで見えてくるものとは。
「マシン・エイジ」と呼ばれた華やかかつダイナミックな
花の都パリの“ある日”がこの1 枚に
ローマやマドリードに比べると、フランスの首都・パリは新しい都市です。
19世紀半ばに行われたセーヌ県知事オスマンの大規模な都市改造をはじめ、普仏戦争やパリ・コミューンを経て、20世紀初頭にかけてパリは新しく作り変えられたといってもよいでしょう。
私たちが知る今のパリは、見通しのよい道路を張り巡らせ、近代都市として整備された街なのです。
本展は、航空機や自動車が一般化した1920年代から30 年代のパリを中心に、機械の発達によって変化するアートとデザインの諸相を辿ります。
ラウル・デュフィ《パリ》は、4枚のカンヴァスからなる屏風型の作品として制作され、朝から夜までの時間に分けて、パリの街を鮮やかな色彩で描写したもの。
街の再構築後も残された歴史的建造物のエトワール凱旋門やノートルダム大聖堂をはじめ、19世紀後半に建てられたエッフェル塔やオペラ座といった大型の建物など、都市を代表するモニュメントが、上空からの視点によってちりばめられています。
本作の原型となったのは、1924年にボーヴェの織物工房から依頼された「パリとその名所」をテーマとしたタペストリーでした。1918年に第一次世界大戦が終結して「狂騒の20年代」を迎えたパリ。
1927年にはチャールズ・リンドバーグがこの都市を着地点として大西洋単独無着陸横断飛行を実現するなど、航空機が一般に普及した時代です。
上空から見渡す花の都パリは、20世紀らしい新たな輝きを放っていたのでしょう。
トップ掲載作品:ラウル・デュフィ《パリ》1937年 ポーラ美術館
教えてくれたのは・・・
ポーラ美術館学芸員
東海林 洋さん
早稲田大学大学院修了後、2011 年より現職。専門はピカソやシュルレアリスムなど20 世紀の西洋近代美術史。これまで担当した展覧会に『ルドン、ひらかれた夢』(2018 年)、『シュルレアリスムと絵画』(2019-2020 年)、『ピカソ青の時代を超えて』(2022 年)など。
『モダン・タイムス・イン・パリ 1925
-機械時代のアートとデザイン』
場所:ポーラ美術館
開催 : 開催中〜2024 年5月19日(日)
開館 : 9:00〜17:00(入館は16:30まで)
閉館 : 会期中無休
※展示替えのための臨時休館あり
TEL 0460-84-2111
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『白井美穂 森の空き地』
大胆なインスタレーションで注目を集めてきた美術作家・白井美穂。既製品を使ったセンセーショナルな作品は、社会的習慣や風俗を巧みに引用し、見るものを圧倒する存在感。
初期の立体作品とともに、絵画・映像・オブジェなどを体系的に再構築。最新作にも注目。
開催中〜2024 年2 月25日(日)府中市美術館
『江戸LIFE』
260年間続いた安寧の世。数々の庶民文化が花開いた江戸時代に、そこで暮らした人々の生活、文化、流行、娯楽など、さまざまなものを描いた浮世絵版画はまさに「庶民のメディア」だった。江戸時代の人々の日々の暮らし「LIFE」を、浮世絵で体感して。
開催中〜2024 年1 月21日(日)
静岡市東海道広重美術館
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