【ねこ好き必見!】付録コラボが大好評の「猪熊弦一郎さん」とユーモラスなねこたち
昭和期の画家・猪熊弦一郎氏の作品とコラボレーションした、「大人のおしゃれ手帖」8月号増刊。愛らしい猫の絵が、大きな反響を呼びました。猫好きとしても知られる猪熊氏の、猫にまつわるエピソードをお届けします!
猫の絵だけで700点以上!
“猫愛”があふれた作品ばかり
夫婦ともに猫好きで、多いときは12匹の猫を飼い、疎開先にも猫を連れていき……。
猫と暮らしながら、猫をモチーフにした作品を好んで描いた猪熊弦一郎氏。香川県にある「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」には、700点以上の猫の絵が所蔵されているそう。
同美術館で学芸員を務める古野華奈子さんによると、「今、確認できたものだけで700点以上。実際にはもっと多いかもしれません」とのこと。そこまで猫に惹かれていた理由は何だったのでしょうか。
「猪熊は犬を飼ったこともあったのですが、『猫の方が絵になる』といったことを言っているんですよね。これは私の勝手な想像ですが、犬の顔よりも、ちょっと平面的な猫の顔のほうが描きやすかったのかな、と。
猪熊の猫の絵はデフォルメしたり、単純化したものが多いけど、猫好きの人からは『よく猫の生態を捉えている』と言われるんです。それはやっぱり、彼が本当に猫を愛していて、造形としても美しい生き物として見ていたからだと思うんですよね」
大人のおしゃれ手帖8月号付録 サングラスケースの絵柄
大人のおしゃれ手帖8月号増刊付録 扇子
サングラスケースに使われている絵柄は1986年に描かれたもの。80代は、スケッチブックにこうした猫の絵をいくつも描いていたという猪熊氏。「おそらくその頃はもう猫は飼っていなかったと思います。見ながら描くのではなく、自分の中にある猫を描いていたのではないでしょうか」
大人のおしゃれ手帖8月号増刊付録 扇子
大人のおしゃれ手帖8月号増刊付録 扇子ケース
扇子とケースに使われているのは、犬が猫のおしりを嗅いでいるキュートな作品。1955年のもので「50代の作品としては珍しく、犬も登場しています。その頃はさまざまな画風で猫を描くことにチャレンジしていました」
『猪熊弦一郎 猫画集 ねこたち』(リトルモア)
多彩な猫の絵のなかから、線描を中心に108点を掲載した画集。総勢690匹の猫の姿を堪能できます。谷川俊太郎氏による詩や、猫についての猪熊氏のエッセイも。
「表紙で猫が一斉にこちらを見ている様子も、猫好きにとっては“あるある”なようです」
シンプルなスケッチから
デフォルメした油彩画まで
「『人とは違うやり方で猫を描きたい』と、猪熊がさまざまな手法で猫をモチーフにした絵を最も描いていたのは1950年前後。その後、ニューヨークへ渡って具象から抽象画に移行した頃は、猫を描かなくなります。晩年にはまた具象に戻り、犬や馬、鳥を描くようになりますが、猫はキャンバスにはほとんど出てこない。ただ、スケッチブックにはたくさん猫を描いているんです。猫が好きすぎるあまり、対象として突き放して描けなかったんじゃないかな……? と私は想像しています」
これらの作品は、香川県の丸亀駅前にある「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」で、現在行われている常設展「猪熊弦一郎展 人や動物や物々」(~2024年9月23日)にて実際に見ることができます。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
〒763-0022 香川県丸亀市浜町80-1
(アクセスはこちら)
0877-24-7755
開館時間/10:00-18:00(入館は17:30まで)
休館日/月曜(祝休日の場合はその直後の平日)、年末12月25日から31日、および臨時休館日
愛らしいミュージアムグッズにも注目!
「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」のミュージアムショップには、「人々の身近なところに美しく、愉しいものを」という猪熊氏の思いがこもったオリジナルグッズがずらり。猫をモチーフにしたものはもちろん、キュートなポストカードやバッジ、Tシャツなどのグッズが豊富に揃っています。オンラインショップでも購入できるので、ぜひチェックしてみて!
「缶バッジの絵は、猫をテーマにしたアンソロジーの挿絵として描かれたもの。寺田寅彦、井伏鱒二、大佛次郎、谷崎潤一郎……といった作家が参加しており、猪熊も『みっちゃん』というエッセイを書いています」
この挿絵にはユニークなものが多く、缶バッチも人気があるそう。
ポストカード (猫6デッサン)¥110/丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
こちらは戦時中に描いたと思われる写実的なスケッチ。猫のリアルな表情や毛の質感がイキイキと描かれており、他作品との作風の違いも興味深いところです。
「戦時中は、疎開先の相模原まで飼っていた猫を連れて行ったほど。仲間の画家たちも同じ場所に疎開していて、芸術村のような雰囲気だったそう。村の人たちと一緒に音楽会を開いていたというのも、美しい暮らしを求めた猪熊らしいエピソードです」
文/工藤花衣
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