悪妻か、愛ゆえか、「悪妻の日」に観たい映画3選
歴史に名を残す悪妻アントニーナの狂気の愛の真実とは?
『チャイコフスキーの妻』
『チャイコフスキーの妻』
© HYPE FILM - KINOPRIME - LOGICAL PICTURES – CHARADES PRODUCTIONS – BORD CADRE FILMS – ARTE FRANCE CINEMA
“世界三大悪妻”として名を挙げられるのが、ソクラテスの妻クサンティッペ、モーツァルトの妻コンスタンツェ、トルストイの妻ソフィアですが、もう一人有名なのが、本作で描かれるチャイコフスキーの妻アントニーナです。19世紀ロシアを代表する天才作曲家ピョートル・チャイコフスキーが同性愛者だったというロシアではタブー視されてきた事実を明らかにしながら、その妻の狂気の愛を描いています。
地方貴族の娘アントニーナ(アリョーナ・ミハイロワ)は、おばの家で催されたパーティでピアノを弾くチャイコフスキー(オーディン・ランド・ビロン)を見て一目惚れ。おばに彼を紹介してもらい、恋文をしたためて熱烈にアプローチします。しかし、同性愛の噂が絶えないチャイコフスキーは、「自分はかなり年上だから」とアントニーナを拒みます。それでもアントニーナは求愛を続け、持参金をちらつかせて、ついに結婚にこぎつけます。
ただし、チャイコフスキーの愛を勝ち取ったわけではありませんでした。彼は世間体から結婚したのか、根負けしたのか、おそらく両方からなのでしょうが、女性への愛情を抱いたことがないという彼との結婚生活はすぐに破綻してしまいます。
これはもう出会ったのが運の尽きとしかいいようがない愛の物語でした。チャイコフスキーは病んで逃げて、アントニーナは盲目的に愛し、どちらも不幸になるだけ。アントニーナが愛していたのは、本当の彼ではなく、即興でピアノを弾いていたときの才気あふれる彼だけだったのかもしれません。夫に疎まれても愛することをやめない妻の愛は、純愛なのか、残酷なのか、考えさせられます。

『チャイコフスキーの妻』
2022年製作
Blu-ray ¥5,500/DVD ¥4,400 発売中
発売元:ミモザフィルムズ
販売元:TCエンタテインメント
© HYPE FILM - KINOPRIME - LOGICAL PICTURES – CHARADES PRODUCTIONS – BORD CADRE FILMS – ARTE FRANCE CINEMA
構成・文
ライター中山恵子
ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。




