【インタビュー】大人だからこそ響く、ブラジル発アニメーション『ペルリンプスと秘密の森』の魅力を監督に直撃!
アニメーション作品が子どもだけのものでないことは、私たちにとってもう常識になりつつあります。スタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』や『かぐや姫の物語』を筆頭に、新海誠監督や湯浅政明監督らのジェネレーションを問わない作品が数多く生まれ、海外の映画祭でも高く評価されている昨今、新しい潮流として注目度が高まっているのが、イベロアメリカ(欧州及び中南米のスペイン語・ポルトガル語圏諸国)のアニメーション作品。
その牽引役を担う、アレ・アブレウ監督の『ペルリンプスと秘密の森』が12月1日より公開になります。来日したアレ・アブレウ監督に作品の魅力を尋ねました。
お話を伺ったのは・・・
アレ・アブレウさん
ブラジル、サンパウロ出身の映画監督、脚本家。デビュー作にして最初の短編映画『シリウス』は、1993年のアニマムンディで、その年の唯一のブラジルのアニメーション作品として上映され、サンパウロ映画祭で最優秀映画賞を受賞。広島国際アニメーションフェスティバルの子ども向けアニメーション部門でも上映された。長編2作目の『父を探して』は、2016年のアカデミー賞の長編アニメー ション映画賞にノミネートされ、『ウルフウォーカー』や『未来のミライ』なども受賞したアニー賞の長編インディペンデント作品賞を、部門創設の年に初受賞した。欧州及び中南米のスペイン語・ポルトガル語圏諸国から構成されるイベロアメリカのアニメーション映画界を牽引する。
目次
子ども時代の「希望の光」とリコネクトさせてくれるブラジル発のアニメーション『ペルリンプスと秘密の森』
「森」は子ども時代の象徴、余白の中に散りばめられた多くの問い
舞台は、豊かで鮮烈な色彩、やわらかなグラデーションに彩られた魔法の森。そこに姿を現すのは、「ペルリンプス」を探す極秘任務に着く、2人のエージェント、クラエとブルーオです。ペルリンプスとは? クラエとブルーオとは何者なのか? 彼らは「巨人から森を守る」と言うが、巨人とは? たくさんの余白に、多くの問いを散りばめながら、物語は進んでいきます。
あるところで、物語の全体像が見えた時、うわっと胸に流れ込んでくるものがありました。それは、とても力強いメッセージ。アレ・アブレウ監督がいたるところに仕掛けたメッセージボックスのふたが一斉に開いたかのようでした。
そのメッセージボックスは、子どもよりも大人のほうが多く見つけられるんじゃないか。より大きく驚くことになるんじゃないか。つまり、大人にこそ深く響く作品なのではないか?と、アレ・アブレウ監督に投げかけてみました。
「確かに、おっしゃる通りだと思います。ブラジルでプレミア上映をしたときに、60代か70代くらいの女性が私を抱きしめて、泣きながらこう言ってくれました。(この作品が)“私を井戸の中から引き上げてくれました”と。大変印象に残っています」
クラエとブルーオのマスコットを携えながら、アレ・アブレウ監督はにこやかに言葉を紡ぎます。
「けれども、最初からメッセージありきで作ったわけではありません。最初に浮かんだのは、視覚的なイメージです。
オオカミの扮装、オオカミのメイクをした子どもが、水たまりに落ちる。少年のメイクはグチャグチャになる。そして森から外へ出ていこうとするーー、という強烈なイメージでした。
その『森』とは一体なんだったんだろう?と考えていくと、実はその森は、少年自身の“子ども時代”だということがわかりました。子ども時代とは、何でも自由に考えることができる場所だと思います。
あらゆることが可能だと信じる力があり、それはとても強い希望となります。その希望は大人になってからも私たちの中にある光のようなものだと思うのです。作品の最後に、少年のお母さんが『森が水の下に沈んじゃったわね』といった意味のセリフがあるんですが、まさにその通りで、子ども時代の希望の光は、大人になると私たちの中に沈み込んでしまう。けれど、奥にはちゃんと潜んでいるものである、と思っています」
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