【インタビュー】フジコ・ヘミングさん
「心ときめくものに囲まれた」東京のご自宅を拝見
ピアニストとして世界中の人々を魅了し続けてきたフジコ・ヘミングさん。
先日、4月21日に永眠されました。心からご冥福をお祈りいたします。
『大人のおしゃれ手帖』では2023年春、当時、現役で活躍するフジコ・ヘミングさんのご自宅を訪れて、誌面にてご紹介しました。
「心ときめくものに囲まれた」という東京のご自宅は宝石箱のようでした。
フジコさんはこれまで大切にしてきたこと、おしゃれのことなどを語っていただきました。
それは今もなお、大人世代に響くエールとなることでしょう。
*記事は取材当時のものです。
Profile
フジコ・ヘミングさん
ピアニスト。ベルリン生まれ。東京藝大卒業後、28歳でベルリン音楽学校に入学。帰国後、1999年にドキュメンタリー番組出演が大反響をよび、デビューCD『奇蹟のカンパネラ』が200万枚超えを記録。世界各地で演奏活動を続けている。
心が落ちつく家には 自分の好きなものだけ
セピア色の家具と年代物のピアノがあるフジコ・ヘミングさんの東京のご自宅を訪ねました。
かつては青年座の稽古場だったところ。
ほかにもパリ・マレ区のアパートメント、サンタモニカ、ベルリン、京都・祇園の町家と、拠点があります。
パリから帰国したフジコさんは、コンサートで全国を巡る日々。
そんななか自宅で過ごすのは、かけがえのない時間。
「自分の好きなものに囲まれたこの家で暮らすと心が落ちつくの。ホテルみたいな個性のない部屋はつまらないから」
部屋には、夏休みの絵日記だったり、アンティークレースをかけたランプシェイド、古いトランクなどがあります。
「家の中がしっくりなじむまで私は10年かかりましたね、置きかえて、また戻して、と。窓辺に飾ったガラス瓶もそう。だから、私が死んだ後は『なにひとつ変えないで』と、伝えています。私はきれいなものが好き。でも、値段は関係ないわ。お金をかけなくても素敵なものはいっぱいあるし。ダイヤモンドよりも、千代紙とか着物の切れっぱしのほうがすごく好き」
ファッションにも「自分らしさ」を大切にしています。
「ベルリンで暮らしていたころの70年代、パリに遊びに行ったら、みんな颯爽とハイヒールをはいていたの。それはもう素敵でね、カフェで通りを歩く人を見ているだけで楽しかった」
演奏会では、着物をほどいてドレスに仕立てたものや、レースをあしらったドレスを着ることも。
「着物かドレスかどちらがいいかといえば、半々くらいだったかしら。演奏するときは背中が丸く見えないように、袖口が窮屈にならないように、布を足して広げてもらいます。ドレスと共布で、髪飾りを作ってもらうこともあります。髪飾りは、ポイントになって、地肌が隠れて見えなくなるし」
取材時には紺色のドレスをまとい、黒い上質なレースのタイツを合わせていたフジコさん。
「赤や桃色も好き。1972年にストックホルムで買ったドレスは今も大事にしているの」
おしゃれについては、年齢を重ねたからこそ、上手につきあえると言います。
「だんだん賢くなって自分に何が似合うかちゃんとわかっていますから。色も形も、自分がどんな服を着たらいちばんきれいなのかを、ね」
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