「大人のための絵本」vol.17 モデル・アンヌさんの名作選
編み物がしたくなったら
『あかいてぶくろ』
文:林木林(はやしきりん) 絵:岡田千晶(小峰書店 1,760円)
ちびちゃんの小さな手を温めてくれるあかいてぶくろ。みぎとひだりはいつも一緒でした。ところが、ちびちゃんが森で、片方を落としてしまいます。離ればなれになってしまった片方を思いながら、日々は流れていきますが……。森の動物たちに見つけられ、思いがけない展開に。長い人生にも置き換えられる物語です。毛糸の温もりが手に取るように伝わる絵を見るだけで、身も心もぽかぽかに。
『セーターになりたかった毛糸玉』
作:津田直美(ブロンズ新社 1,540円)
お店に売られていた赤い毛糸玉はセーターになる夢を抱いていました。ところが、お婆さんが編み上げた頃には、ひとつだけ余ってしまったのです。そこで男の子の手袋に。がっかりしたものの、大切にされて気を取り直します。でもある日、広場に置き去りにされ、犬が見つけてくわえていき……。手袋の運命を追っていきます。夢は諦めなければ叶う? 流れに身を任せればいい? ほっこりする作品でありながら人生とは、と深く考えさせられます。
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この記事を書いた人
モデル、絵本ソムリエアンヌ
14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒業。 モデルのほかエッセイやコラムの執筆などで活躍。 最近は地域で絵本の読み聞かせ活動も行っている。