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大人のおしゃれ手帖 1月号

大人のおしゃれ手帖

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大人のおしゃれ手帖
2025年1月号

2024年12月6日(金)発売
特別価格:1420円(税込)
表紙の人:原田知世さん

2025年1月号

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「大人のための絵本」vol.21 モデル・アンヌさんの名作選
美味しいものを作りませんか

アンヌ

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雨の日は、キッチンで

 こんにちは。アンヌです。
 外に出るのが少し億劫な季節ですね。私は、雨ならキッチンで過ごす、と決める日もあります。冷蔵庫や棚から残り物を集めて、作り置きに全集中。すると、気分はスカッと晴れるんです。
 こう見えてもまあまあ料理好き。それにはフランス人のステップファザー(義父)の影響もあるのかも。
 もう30年以上も前、母が二度目の結婚をした直後のことです。彼が初めて私に、ランチのスパゲッティを作ると言ってくれました。当時は料理上手な男性はレアなイメージ。きっとトマト缶を煮詰めるだけの簡単なものだと、大して期待はしていなかったのです。でも出されたのは、ニンニクとオリーブオイルに絡めたプチトマトのペペロンチーノ風。深みのある味でした。以来、彼がキッチンに立つと観察するようになりました。
 印象に残っているのは、オリーブオイルのボトルと無数のガーリック。そして大きな手です。彼には得意料理がいくつもありました。
 例えば、ジゴー・ダニョー(子羊のモモ肉の塊の、オーブン焼き)。焼く前に、ニンニクをところどころに差し込み、塩こしょう、ハーブ、さらにすり下ろしたニンニクをすり込んで、オリーブオイルをたっぷりとかける。それを両手でまんべんなく撫でのばして下ごしらえ。それからオーブンへ。
 カイユ(ウズラ肉)の丸ごと煮では、塩こしょうとニンニクのすり下ろしをまぶしてから、オリーブオイルを垂らし、手のひらで転がすようにコーティング。そしてココット鍋に。
 どんなサラダでも、塩こしょうを振りかけ、バルサミコ酢とニンニクを少々。そしてオリーブオイルをかけたら、混ぜるのは素手。
 夏の暑い日には、プチトマトを冷製パスタにもしてくれました。その時も同じ調味料で、混ぜるのにやはり道具は使いません。それがもう、言いようのない美味しさなのです。
 やがてまろやかな味わいのコツは素手なのかもと思うように。
 最近は食材を直に触らず、ラップやビニール手袋をするケースもよく見られます。でも私は使いません。ステップファーザーの大きな手が作った料理の数々が忘れられなくて。
 というわけで、今回は素手でこねたくなるような作品を2冊選びました。主役は小麦粉。雨の日はキッチンで過ごすと決心すれば、少し手間のいる自家製おやつやパンも挑戦したくなりそうですよ。

*次ページではアンヌさんのおすすめの絵本をご紹介します

『なにのせる?』

絵とお皿/鹿児島睦、お話と企画/ギャラリーフェブ
(文化出版局 1,760円)
 
陶芸作品をはじめ、テキスタイルや版画制作で、国際的にも人気を集める鹿児島睦さん。ここではご本人による、動物や植物のモチーフをあしらった色彩豊かなお皿たちが登場します。ウサギやクマ、ネズミなどがデザインの中から飛び出して、「なにのせる?」と読者に問いかけます。ページをめくると、次々に美味しそうなおやつが! 10人の料理家による「クッキー」「おはぎ」「ドーナツ」など。見ていると食材を素手でこねたり、めん棒で伸ばしたりしたくなりそう。でも大丈夫。巻末には丁寧なレシピが。表情豊かなお皿が幸せを運んでくれるような一冊です。

『パンどろぼう』

作/柴田ケイコ
(KADOKAWA 1,430円)

まず、思わず二度見してしまう表紙にクスリ。開けば、町のパン屋さんから、なんとパンがパンを担いて逃げています。「おれはパンどろぼう」と言って誇らしげ。よく見ると食パンに顔も手足もある! 一体なにものなのでしょう? 美味しそうなパンが並ぶお店に忍び込み、「事件」を巻き起こす展開は大変愉快です。数々の絵本大賞にも選ばれた超人気作品で、ファンになる大人も続出! 続編もおすすめです。パンどろぼうのお茶目な魅力に感化され、雨の日はキッチンで小麦粉こねこねしたくなるかも。レシピ本もありますよ。


*画像・テキストの無断転載はご遠慮ください

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この記事を書いた人

モデル、絵本ソムリエアンヌ

14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒業。 モデルのほかエッセイやコラムの執筆などで活躍。 最近は地域で絵本の読み聞かせ活動も行っている。

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