「大人のための絵本」vol.23 モデル・アンヌさんの名作選
夏の夜の思い出
『悪い本』
作/宮部みゆき
絵/吉田尚令
編/東 雅夫
(岩崎書店 1,650円)
ドキッとするタイトル。『怪談えほんシリーズ』のこの一冊は、「このよのなかでいちばんわるいことをしっています」と女の子に語り始めます。そんな本なんていらないと思うかもしれません。でもページをめくるごとに、どんどん必要になり、女の子の気持ちと重ね合わせ読み進めてしまいます。本当に怖いものはどこからくるのか。誰しもの心の奥に潜む「悪意」と否応なしに向き合わされ、大人が真剣に考えてしまいます。サスペンスの巨匠による詩的な文章。可愛いレトロタッチな絵もどこか陰があり魅力的です。
『二番目の悪者』
作/林木林 絵/庄野ナホコ
(小さい書房 1,540円)
二番目とは? そう思わずにはいられないタイトル。開けばたてがみの美しい金色のライオンが。自分こそが王にふさわしいと思っています。一方で、銀色のたてがみを持つライオンが、心優しく立派だと評判に。嫉妬した金色のライオンは……? そして一国の行方はいかに…? 悪者は誰なのか。無関心でいること、鵜呑みにすること、流されることに警鐘を鳴らす大人な絵本です。情報社会の怖さにも気づかせてくれるでしょう。
【NEWS!】アンヌさんが絵本の魅力を指南
Anneの絵本の楽しみ方
~絵本からはじめるセルフメンテ~
9月から11月、にNHK文化センター名古屋教室にて、アンヌさんがオンライン講座の講師として登場します。
日程は9月12日、10月10日、11月14日
「Anneの絵本の楽しみ方~絵本からはじめるセルフメンテ~」
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1298307.html
お問い合わせ:052-952-7330
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この記事を書いた人
モデル、絵本ソムリエアンヌ
14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒業。 モデルのほかエッセイやコラムの執筆などで活躍。 最近は地域で絵本の読み聞かせ活動も行っている。